IRプレミアムのつく株価
素晴らしい商品やサービスを考えついても、営業力がなくては顧客には届かない。
IR活動も同じで、どんなに潜在成長性がある企業でも、
投資家に刺さるIRをしなくては、企業の想いは届かず株価は上がらない。
C&Aでは投資家に刺さるIRのことを、「IR営業力」と言います。
実際、株価の評価が高い企業は「IR営業力」が高い。
しかし、「IR営業力」が高い企業は数えるほどで、ほとんどの企業が『IR営業力」は弱い。

営業とマーケティングは販売するという意味では同じである。
一般的にマーケティングのフレームワークで3Cが知られている。とは、「顧客」(Customer)、「競合」(Competitor)、「自社」(Company)のこと で、顧客・競合・自社の3つの観点からマーケティング戦略を策定する。
IR活動を3Cに当てはめてみると、まず「顧客」(Customer)とはターゲットであり、投資家やアナリストである。
C&Aは投資家を以下のように9種類に分類しており、どの層の投資家をターゲットにするかでIR戦略はかなり違ってくる。
ターゲット投資家が明確か
まずIR戦略を策定するために最初にしなくてはならないことは、ターゲット投資家を決定(確定)すること。
そのためには、株主動向の分析が必要で、現在の株主構成や株主の変動状況、潜在株主であるIR取材を受けた機関投資家等の分析やその投資家の投資動向や質問内容等の分析等が不可欠である。
競合のIR動向を把握しているか
2つ目の「競合」(Competitor)とは、同業者ともいう。
貴社は、競合企業の決算説明(補足)資料を見たことがあるだろうか?
3ヶ月ごと(毎四半期)に決算短信や説明資料を確認しているだろうか?
競合は、その資料で「なに」を「どの様に」伝えているだろうか?
競合はどのようなIR活動をしているのか?
決算説明会のプレゼンテーションでは「なに」を「どの様に」伝えているだろうか?
投資家にとって自社と比較して、どちらが魅力的(将来性がある様に)に見えるだろうか?
そしてそのその理由はなぜだろうか?
競合は、自社より評価は高いのか低いのか?
PerやPBRはどうか?
流動性はどうか?
ROE、ROAはどうか?
特徴や強みは「何」で、「どの様」に投資家に説明しているか?
株主構成はどうなっているか?
機関投資家比率はどうか?
主要な機関投資家は具体的にどこが、どれぐらい投資しているか?保有比率は増加しているのか、減っているのか?
大株主構成はどうなっているのか?取引先や外国人比率、個人対法人の比率はどうか?
新規事業は何に取り組んでいるか?
中期戦略やその施策は自社と比較してどうか?成長性はどちらが高いか?
etc
上記意外にも、競合について調べなくてはならないことはたくさんある。
投資家は必ず競合と比較した上で、投資を判断するからである。
「なに」を「どう伝えるか」
3つ目の「自社」(Company)であるが、以前のコラムでIRにおいて「自社」の「なに」を「どう伝えるか」が最も重要であると解説した。
自社の「なに」を「どう」伝えれば、魅力を感じ、投資してもらえるのか?
その企業の「なに」を「どう」伝えるか、その内容は、一つ目の「顧客」(Customer)である「ターケット投資家」と、2つ目の「競合」(Competitor)の状況によって違ってくる。
これらを熟考した上で、IR戦略が策定される。
IR営業力のある会社
そして、ここからが今回のポイント、「IRで2番目に重要なこと」についてだが、
策定されたIR戦略を実行する力、つまり「IR営業力」です。
なぜなら「IR営業力」で株価は大幅に変わってくるからである。
事業活動において販売戦略までは絵にかけるが、その戦略をどう実行するかで売上高は違ってくる。
営業力があれば売上は高くなる。営業力が低いと売り上げもそこそこだ。
IRも同様で、「IR営業力」が高いと株価は高く、「IR営業力」が低いと株価も低い。
同じ商品でも営業マンによって売上は全然違う。
赤字の店舗でも店長が代わっただけで黒字にもなる。
立地や商品に関係なく、店長次第で赤字店舗が黒字店になるのである。
つまり、「誰が」営業や販売を行うかで、結果は全く違ってくるのである。
株価も同じで、「誰がIRを行うか」で株価は何倍も違ってくる。
IRプレミアムのついた株価
皆さんは、「IRプレミアム」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
「IR営業力」がある企業の株価は、競合より割高である。
想定される株価に「IRプレミアム」がプラス(オン)されているからである。
貴社の株価には「IRプレミアム」がついているだろうか?
IRは最も重要な社長の直轄事項であるべき業務だが、